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「下見」は大事

通訳ガイドにとって、ツアーなどの「下見」はとても大事だと考えています。

「下見に行く」と言うと、

「わざわざ下見するの?」

「お金かかるでしょ?」

「大変じゃない!?」

と言われたりします。


確かに、わざわざ下見をしますし、お金もかかるし、時間もかかるし、大変なのは事実です(笑)。

でも、「下見」は通訳ガイドの仕事を支えると思っています。


shitami3 
能登・白米千枚田にて


場所によって、時期によって、また自分のスケジュールによって、
どうしても行けない時がありますが、
基本的には下見に行くのがプロの仕事のために必要だと思います。


その理由はいくつかあります。


①行ったことのないところを案内することは難しい。


単純に、自分が行ったことがない場所に人を案内するのは難しいです。

何より、ガイドの知識が「お客様と同じ」レベルでは話になりません。

今はネットやアプリを使ってかなり情報は集められますし、それは本当に助かります。

でも、それは最低限の準備であって、ガイドとして必要な情報は、

「そこからは得られないもの」です。


ガイドにとってとても重要なのは、

・土地勘をつけること。

・地域全体の文化や歴史の中での個々のスポットのイメージや位置づけをつかみ、
 それに基づいてストーリーを作る。

ということだと思います。



「土地勘」をつけるには、何度も足を運ぶしかありません。

また、住んでいるところや過去に住んだことのあるところは当然ある程度土地勘がついていますが、
「ガイドの目で見る」のはまた別の視点になるので、慣れたところでも改めて行ってみる必要があります。
また何度も行っているところでも、久しぶりに行く場合は改めて下見をしたりもします。
現場は変わるからです。


「地域全体を見る」というのは、例えば仮に都内では「皇居」に行くとすると、
「皇居」に行くのはもちろん必要ですが、それだけでは十分ではありません。

皇居の説明をするには皇室についての知識はもちろん必要ですし、都内を周っていると、迎賓館赤坂離宮、明治神宮や外苑など関連施設が目に入ります。


また歴史的に江戸城から将軍の話にもなりますし、

「将軍と天皇はどう違うの?」

という質問も外国人には必ずされることです。

外堀や内堀、もともと海だったところ、増上寺や浅草寺など、将軍に関連する場所は山ほどあります。

というより、全てつながっているわけです。


それをたどっていくと、例えば「徳川家康」ゆかりの地という切り口だと日光、久能山、名古屋など各地へ飛びますし、家康が出てくれば秀吉の説明が必要という風に、無限に広がっていきます。

実は、「日本」を説明しようとすると、海外もつながってくることにも気づきました。
「仏教」の説明をしようとすると、おのずと中国そしてインドにつながってきます。


集めた知識を「まとめて、かみ砕いてわかりやすく説明する」のが通訳ガイドの仕事だと思います。


仕事を始めると、それがいかに膨大な作業であるかにすぐに気づいて唖然とするのですが、それはもうライフワークだと思っています。

もちろん、1回の仕事ですべてを学ぶことはできないので、少しずつ更新して、
その都度切り口を変えて編集するという作業の繰り返しです。

切り口は、お客様の国籍年齢層バックグラウンドによっても違ってきます。


shitami2 
長野・地獄谷野猿公苑にて


②「下見」の目的は、実際のツアーで行くところだけを見るのではない。


実際のツアーで行くところも、最低限下見は必要です。

そして、通訳ガイドは「添乗員」の役割も兼ねていることが多いので、
お客様をスムーズにご案内するための「動線」を確認することが必要です。

動線は、

・バスを降りる場所(貸し切りバスの場合)
・バスから目的地までの道順と距離、時間。
・階段や坂道がないか。車いすやベビーカーが通れるか。
・目的地でエレベーターやエスカレーターがあるか。
・目的地内の周り方。
・天候や状況の変化による対応。

など、実際に歩いて確認をします。

さらには、
・チケット売り場や受付。
・お客様が待つ場所。
・トイレの場所。
・自動販売機や売店などがあるか。
・地図やパンフレットがあるか。

など、いろいろ確認することがあります。


また、1つの施設内に複数のスポットがある場合、時間の都合などで実際に行くのは1か所でも、下見の時はできるだけ全部見ます。

観光施設の他に、レストランホテルなども、できる限り下見をします。


「食事」もツアーでは大事なことなので、できる限り地元ならではの料理をいただきます。

年中全国を周っていろんなところで食事をしても、まだまだ「食べたことのないもの」が出てくるので、日本も本当に広いと思います。


せっかく下見をしたのに実際は「行程が変わって行かなかった」ということも、多々あります。

でも、それはそれで「そういうところがある」と知っておくことは無駄ではないし、次回以降に行く機会があるかもしれません。



私はよく「寄り道」もします。

実際のツアーでは、「寄り道」ということは何か理由がない限りしませんが、下見の時は時間さえあれば寄り道をします。

そこでたまたま見つけた面白いものや、思いがけない場所を発見するのは、下見の楽しさでもあります。


地元の人に尋ねたのをきっかけに話し込むこともあります。

タクシーに乗ってドライバーさんに話を聞くこともあります。詳しい方だと、行き先を変更して周ってもらうこともあります。

地元の方々は、私にとっては「先生」であり、必ず目からうろこが落ちる話が聞けますので、貴重な「研修」だと思っています。いい思い出でもあります。


shitami1 
北海道・流氷


③十を知って一を説明できる。


これは①や②にも関連しますが、上にも書いた通り、お客様と同じレベルの知識ではプロのガイドとは言えないし、ネットで調べればわかることはそうすれば済むことです。

でも、ガイドに求められるのは、「バラバラに散らばったパズルを組み合わせるお手伝い」のようなものではないでしょうか。

つまり、「日本」という国や東京、京都といった都市について「漠然としたイメージ」を持ってくるお客様に、そのバラバラの知識をつなげたり、新たに加えたりして、新しい、より鮮明な「日本」というイメージを作るお手伝いという意味です。

そしてそれに、楽しい数々の思い出をつけて。


言うは易しですが、それには十どころか、百、千、とエンドレスに知識が必要だと思います。


また、「知識を持っている」ことと「人にわかりやすく説明すること」は、違います。

さらに、「外国人に説明すること」「日本人に説明すること」とも違います。



日本人には「徳川家康」といえばそこから話ができますが、外国人にとっては、「徳川家康とはどういう人か」という説明をしないとわかりません。

「江戸時代」がいつで、どういう時代なのかも説明しないとわかりません。

ガイド自身が集めた知識を整理して、をかみ砕いて理解していないと、人には説明できません。

ですので、知識を集める作業だけでなく、それを整理する作業がガイドには必要です。

④旅行そのものが楽しい。


何より、ガイドというのは旅行が好きなので、下見でも本番でも旅行そのものが楽しいです。
ガイド自身が楽しいと思わなければ、お客様を楽しませることはできないと思います。

上にあげた例は一例ですが、下見は地味な作業でもありますが、

アドベンチャー
新しい発見や出会い
チャレンジ

でもあります。

これはまさに、自分自身の人生の修行でもあり、財産でもあると思っています。


shitami4 
インド・ブッダガヤにて


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プロフィール

英語通訳案内士・篠山美智子

Author:英語通訳案内士・篠山美智子
英語通訳案内士。オーストラリア留学後、前職(日本語教育関係)でインドネシアとマレーシアに計8年滞在。2009年より通訳案内士専業。日本及び海外旅行会社の団体ツアー、個人旅行客(FIT)、企業のインセンティブ・ツアー、政府関係のプロジェクト等に就業。北海道から九州まで日本全国を周る。

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