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外国人に喜ばれる食事とは

年末から年始にかけて、インドネシアのお客様を北海道にご案内しました。


食べ物の豊富な北海道では、海鮮、肉、野菜からアイスクリームやお菓子まで楽しまれました。


函館朝市 

函館朝市にて



しかし、ツアーの最後の日にお客様は、

「脂っこいものがほしい」

「ケンタッキー・フライドチキン」を買って食べていました。


ツアーの食事が少ないわけではないのに、なぜそうなるのでしょうか?



お客様の食の嗜好は国や季節、場所によっても違いますが、

一般的な傾向として気づいたことをいくつか挙げてみたいと思います。



1.バラエティを楽しみたい


北海道は海鮮が豊富でおいしくもあります。しかし、

「鮭のチャンチャン焼き」

「鮭の陶板焼き」と続いた時、

インドネシア人ツアーリーダーが

「もう同じようなものは出さないでほしい。飽きるから。」

と言いました。


また、鍋も結構続きます。

「石狩鍋」「海鮮鍋」「鳥鍋」などなど。

味付けも味噌味が多いので、味噌汁とも似た感じになるし、「また鍋...」と言われがちです。


インドネシア料理では、たくさんのスパイスやニンニク、ハーブ、ココナッツミルクなどを使うので、

味の幅が広く、「似たような味」にはなりません。

その点和食ではしょうゆ、味噌、塩など基本的な調味料が決まっているうえ、

ニオイの強いものはあまり使わないので、どうしても単調になってしまいがちだと思います。



2.温かいものを食べたい


ゆでたカニが何度か食事に出たところ、お客様が鍋に入れたり、鉄板で焼こうとしていました。

「もう火はとおっていますよ。」と言いましたが、

「冷たいから。」と。


確かに、インドネシアや東南アジアでは「冷たいカニ」を食べません。

それに、どこでも「ゆでたカニ」しかでないので、

いくらカニ好きな方でも「またこれか。」となってしまいます。

シンガポールカニ 

シンガポールで食べたスウィート・サワー・チリソース味のカニ



私自身もカニは好きですし、カニの味を味わうにはゆでてそのままのカニを食べるのがいいとは思います。

が、そのままでおいしいものは他の食べ方をしてもおいしいはずなので、

もう少しいろんな形で提供されてもいいんじゃないかなと、ふと思いました。



また、ツアーリーダーの希望で追加注文した「鶏ザンギ(鶏の唐揚げ)」が、

揚げたてで大好評でした。

それで翌日別の店で同じものをつけたのですが、今度は「冷めたもの」が出てきて不評でした。


「温かさ」にこだわるレストランでは、何分前に電話をしてほしいなど細かく言われることがありますが、
でもその手間をかけることで着いた時にお客様ができたての温かい食事を召し上がることができるなら、何よりだと思います。

そのための「入り込み電話」だと思います。

※入込電話:到着前に電話を入れること。



3.味がしっかりついたものを食べたい


外国の料理は味付けの濃いものが多いので、それに慣れている方が多いです。

特にスパイスを多用するインドやインドネシア、東南アジアの国では、

「素材を味わう」ことを重視する日本料理とは対照的に、

スパイスを使うことで保存をよくしたり、臭みを消したり、味をおいしくする」という考え方です。

これについては別途記事にも書いています。
日本料理の味



私もガイドとして最大限「日本料理の特徴とよさ」を説明、アピールしてはいますが、

短期滞在の外国人、しかも暑い国から寒い北海道にやってきて温まりたいところを

「食べなれない味の薄い冷たい食事」で満足してもらうのは無理があるとも思いますし、

急に味覚を変えることも難しいとも思います。


そんなお客様の希望を考えれば、もう少し歩み寄った工夫があってもいいのかもしれないと思います。



4.生ものは苦手


半分以上の方は刺し身など生ものは苦手だと思います。

もちろん、中には大好きな人もいますが、多数派ではないと思います。

新鮮なイカや甘エビの刺し身が出たりしますが、これも多くのお客様は鍋に入れたり、

鉄板や網で焼いて食べています。


生ものがダメな方は予め

生ものでないものと変えてください」

とリクエストを入れたりしますが、そうすると「こんにゃくの刺し身」になっていたりします。


生ものは食べられない」というリクエストの意味

お客様にとっては魚もこんにゃくも冷たいし生っぽくてどちらも食べられないのですが、

店の方は「せっかく日本に来たんだから刺し身がいいと思って」とおっしゃったりします。

それはもっともではありますが、

お客様はそれよりも「生っぽくない火がとおったもの」を食べたいわけです。



刺し身は基本的に「冷たい」ので、外国人ツアーでは1,2回出れば十分かなという気がします。
(食べたい方は追加で頼んで食べればいいですが、たくさん残しているともったいないです。)



5.辛いものを食べたい。


あっさりして辛くも脂っこくもない和食が続くと、私でも辛いものがほしくなります。

インドネシアなど暑い国の方々は辛いものを日常的に食べているので、辛くないと物足りないと言います。


ツアー中は毎回「一味」を頼みます。

慣れているところでは山盛りの一味が出てきますが、「1本しかない」と言われたり、

小皿にちょこっと出てきたり、耳かきのような匙がついてきたりします。



トウガラシ 

レストランの一味とお客様持参のサンバル


またツアーリーダーやお客様自身で、インドネシアのサンバルを持ち歩いています。

私ももらうことがありますが、サンバルは海鮮料理にも合うので、

あっさりした和食が「アクセントのあるピリ辛の食事」に変身することがあり、驚くことも多いです。

前にも書きましたが、「焼き魚+ごはん+サンバルはものすごく合います。

塩味でシンプルな食べ方もおいしいけれど、バラエティとして「ピリ辛な和食の食べ方」などもっと多様な和食があっても、

これからの時代はいいんじゃないかと私は思ったりしています。


サンバル(sambal)」とサンマの塩焼き



北海道に限りませんが、ツアーの中で「食べる」ことは大きな楽しみのひとつです。


朝食、昼食、夕食と1日3回毎日ありますし、観光で疲れた時のほっとするひと時でもあります。

それは日本人も外国人も同じですが、外国人は習慣や嗜好が違う方たちです。



将来ますます多様化する外国人のニーズに対応するためにも、

「団体の食事はこういうもの」という枠を一旦とりはらって、

外国人(それぞれの国)のお客様が何を食べたいか」を追求していく必要があるのではないでしょうか。


※この記事は、「やまとごころブログ」の中の筆者ブログ「英語、ときどきインドネシア語」にも掲載されたものです。
(掲載期間2012年10月~2016年5月) http://www.yamatogokoro.jp/sasayama/
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プロフィール

英語通訳案内士・篠山美智子

Author:英語通訳案内士・篠山美智子
英語通訳案内士。オーストラリア留学後、前職(日本語教育関係)でインドネシアとマレーシアに計8年滞在。2009年より通訳案内士専業。日本及び海外旅行会社の団体ツアー、個人旅行客(FIT)、企業のインセンティブ・ツアー、政府関係のプロジェクト等に就業。北海道から九州まで日本全国を周る。

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