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プロだからこそ食事制限に対応できる -「おいしい」の一言のために-

旅行の間の食事は楽しみでもあり、1日3回の大きなイベントでもあります。



日本食2 

ツアー中のある食事
※写真は本文とは直接関係ありません。



外国人に限らず、アレルギーなどの理由で「食事制限」がある場合があります。

多様な国の文化を背景に持つ外国人は、アレルギーの他に宗教主義などの理由で「食事制限」も様々です。



先日あるレストランで、どうしても腑に落ちない対応がありました。

そのレストランを批判するためではなく、

「プロだからこそ食事制限に対応できる」

言い換えれば「プロでないとできないから頼る」

のだということを申し上げたくて、この記事を書くことにしました。



お客様の食事制限は「大豆アレルギー」でした。

その日の食事は懐石料理で、レストランにリクエストを入れたところ、

「アレルギー食には対応しかねるので、来られてから自分で選んで単品で注文するか、持ち込んでほしい」

と言われました。

そんな風に対応を断られたのは初めてだったので、ビックリしました。

お客様に伝えると、

「大豆以外は何でも食べるので、大豆抜きの料理を作ってくれればそれでいい。自分で見て選ぶなんてできない。」

ということでした。

もっともです。見慣れた料理だって、切ったり加工されたものを見て

「大豆が入っているかどうか」

なんてわかりません。

ましてや外国人が和食を見て選ぶなんてことは、無理があります。



「持ち込み」については、たまにレストランに許可を得て一部食べ物を持ち込ませていただくことはあります。

しかし、軽い昼食ならまだしも、懐石料理に匹敵するものを持ち込むということは無理だし、

直前まで観光をしているわけですから、買う暇もありません。


どう考えても、それは「店の都合」であり、お客様にとって親切な対応ではないと思いました。



もちろん、お店の方のおっしゃる「何かあった時に責任をとれない」というのはよくわかります。

アレルギーは、場合によっては死に至るほど重大な場合もあるので、それは店だけでなくガイドも慎重です。

しかし、

「食のプロ」であるレストランがやらないと言ったら、一体誰ができるのでしょうか?



実際、私はこれまで何十、何百とレストランで食事制限をお願いしてきましたが、

「全く対応しない」というところはありませんでした。

嫌がられる、面倒がられることはしょっちゅうですが、面倒なことは重々承知しています。

でも説明してお願いして、結果的に、出来る限りは対応していただけました。



団体では食事制限が1人だけなら少ない方で、

「甲殻類アレルギー」

「アレルギーではないけれど生魚は食べない」

「完全なベジタリアン(ビーガン)」

「ベジタリアンだけれど魚、卵、乳製品は食べる」

「牛肉は食べない」

「豚肉は食べない」

など、様々なリクエストが1つのグループに混在したりしています。

そのリクエストを入れて、確認するだけでも大変な作業です。

でも必要なことだからやっています。



もちろん全てスムーズだったわけではなく、嫌がるレストランを説得したり、

何度もああでもないこうでもないとやりとりをして解決策を考えたり、レストランとのやりとりは不可欠です。

それでも実際、苦労して作ってもらったものを見てお客様に

「何これ?食べられない。」

と残されたり、何らかの原因で粒子レベルで混入したのか(軽い)アレルギー症状が出てヒヤッとしたり、

出す直前の確認でうっかりアレルギー食品が使われていることがわかりヒヤッとしたり、

ということは何度かありました。



それでも、なぜそこまでするかというと、やはりお客様は「おいしいものを食べたい」と思っているからです。

日本人からすると「ワガママ」に見えるかもしれません。

実際ワガママな場合もあります。

私も通訳ガイドとしてただお客様の言い分を聞いている訳では決してありません。

ツアーの最初から、次のようなことはできる限り説明をしています。

・日本は海に囲まれていて新鮮な魚がとれるので、「新鮮な素材の味を楽しむのが最高」とされてきたこと。

・日本では「活けじめ」という方法で魚を処理するので、臭みがないこと。

・和食はタンパク質が豊富かつカロリーが低く、健康的な食事であること。

・ユネスコ無形文化遺産に登録されていること。

・米が主食で大切にされてきたこと。

1粒1粒がお百姓さんが働いて作ったものなので無駄にしないよう子供の頃からしつけられること。

・日本人は「好き嫌いはせず、何でも出されたものを食べる」のがいいと考える人が多いこと。

・食事制限がある場合は出来る限り対応してもらえるように努力はするが、

レストランの仕入れの都合もあるので直前は無理なこと。

少なくとも前日に言ってほしいこと。(出来る限り初日に聞いて確定する)



これはほんの一例ですが、毎日観光地を回りながら、食事もしながら、

日本での食事に抵抗をなくしてもらえるよう頑張っています。


それが通訳案内士としてやるべき業務だと思っています。


そしてせっかく日本に来たのだから、ぜひ日本での食事を楽しんでください、ということをお伝えしています。


日本食3 

ツアー中のある食事。
※本文とは直接関係ありません。



誠意をもって説明すれば、多くのお客様は積極的に食べようとするし、最初ベジタリアンが8人ぐらいいたのに2人になったりします。

基本的にお客様は「楽しみたい」のですから、

誰も好き嫌いを言って困らせたいのではないわけです。


しかし、日本ほど清潔で食べ物が新鮮な国ばかりではないので、

「生もの=臭い、気持ち悪い、不潔」

と思っている人もたくさんいるわけです。


何十年もそういう概念を持って生きてきた方々の考えを変えるのは簡単なことではありません。

でも、不可能でもありません。

だから、出来る限り努力はします。

それでも、アレルギーや宗教、主義が理由で食事制限がある方のみ、レストランにリクエストを入れています。


出されてから、あるいは直前に言ってくる方にはハッキリ断りますし、

お金を払って追加するのは自由ですと言います。

レストランに手間をかけているのは承知しているので、お礼も言うし、謝りもします。



そしてほとんどの場合、お客様はその手間に対して「感謝」しています。

結果的に対応できなくても、口に合わなくても、「ありがとう」とおっしゃいます。

やはり旅行を「楽しみたい」わけです

これにつきると思います。



話を戻します。

ですので、お客様が「大豆以外は何でも食べる」とおっしゃっているのに、

「アレルギー食は作れない」と頑なに受け付けようとしない今回の対応は、

とても違和感があり、残念に思いました。



実はその前に、別のレストランで大豆抜きの食事をお願いしていたところ、

「どうしても大豆油を使っているのでそれだけは避けられない」

と言われました。

それをお客様に伝えたら、

「微量なら大丈夫だと思う。薬を持っているので、何かあったらそれを飲むから。症状が出たとしても死に至るようなものではないので。」

ということでした。結果的にはアレルギーは出ず、大丈夫でした。

それもレストランに伝えましたが、それでもだめでした。

なので、今回は単品から選ぶという方法でやってみることにし、お客様にも了解を得ました。



お客様はおいしいと言って下さいましたし、何も不満はおっしゃっていません。

でも、私は腑に落ちないものを感じました。

メニューがかなり限られていましたし、最初から醤油漬けしてあるもの、

タレに醤油が使われているものがほとんどでした。



そして最も違和感を感じたのは、事前の電話では「大豆を抜いて出すことも可能ですので」とおっしゃっていたのに、

いざその場では「いやー、そういうクリーム系のものよりも、蒸しガニみたいな明らかに使っていない料理にしておく方が無難だと思いますよ。」という姿勢でした。

確認もしないで「無難」なものを注文しろと!?

そういう「守りの姿勢」、言い換えれば「店の都合ばかりを優先する姿勢」では、お客様の満足は得られないと思います。



今後も外国人観光客を受け入れていくなら、もっと複雑な食事制限が出てくるでしょう。

その方たち全員に「単品から選ぶか持ち込んでください」というのでしょうか?


多くのお客様が召し上がった懐石料理はとてもおいしく、場所もよく、

そのアレルギー対応の部分以外は素晴らしかっただけに、なおさら残念に思いました。



今回は、一つの提案として、他の旅館などでなさっているように

「可能な限りアレルギー食の対応はしますが、万が一何かあった場合は責任を負いません」

という英語の文書にサインしてもらってはどうか、とお伝えしました。

返事はいただいていませんが、前向きに検討はしたいとのことでした。



解決はしていませんが、手間がかかるにも関わらず前向きにメニューを研究していらっしゃる店もたくさんあので、

あえて疑問を投げかけたいと思います。



日本の優秀な職人さんなら、きっと世界が驚くような料理ができるに違いないと信じています。

そして職人さんだけでなく、現場で案内する通訳案内士も旅行会社も、

「チームジャパン」としていい仕事ができるよう願っています。

お客様から「おいしい」という一言を聞けたら何よりではないでしょうか。
そう思う心は同じだと思います。



日本食1 

※本文とは直接関係ありません。




※この記事は、「やまとごころブログ」の中の筆者ブログ「英語、ときどきインドネシア語」にも掲載されたものです。
(掲載期間2012年10月~2016年5月) http://www.yamatogokoro.jp/sasayama/
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プロフィール

英語通訳案内士・篠山美智子

Author:英語通訳案内士・篠山美智子
英語通訳案内士。オーストラリア留学後、前職(日本語教育関係)でインドネシアとマレーシアに計8年滞在。2009年より通訳案内士専業。日本及び海外旅行会社の団体ツアー、個人旅行客(FIT)、企業のインセンティブ・ツアー、政府関係のプロジェクト等に就業。北海道から九州まで日本全国を周る。

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