記事一覧

車椅子がいらなくなったお客様

ツアーではいろいろなお客様からのご希望がありますが、時々「車椅子」のご希望があります。


車椅子を使う理由もいろいろですが、多くは年配のお客様で「足が悪くてあまり歩けないから」という場合が多いです。



ある女性のお客様(仮にA様と呼びます)は、空港に着いた時に

「歩けないから車椅子を使いたいんだけど。」

とおっしゃいました。


早速ホテルに電話をして、車椅子を用意していただきました。


翌日の朝までは車椅子を使われていましたが、ツアー中の車椅子手配については事前の予約がなかったため、既に他のグループのバスで使っていて、使えないことになりました。


A様は、娘さん、お孫さんと参加されていましたが、娘さんがお母さん(A様)の足のことをとても気にされていました。


ご本人も、最初は「バスに残る」と言って、外に出ず残ったりしていました。


しかし、退屈になったのでしょう。

また、他の方がどんどん歩いているのを見てか、ご本人が、
「ちょっと、行ってみる。」
と言って、一緒に歩くことになりました。


日本のツアーでは、「歩かないで行ける」というところはあまりなく、最初から最後までバリアフリーというところは、なかなかありません。


私も、ゆっくり歩いたりできる限りの配慮はするものの、グループの他の方々もいるので、A様だけに合わせるというわけにもなかなかいきません。


結果的に、かなりの距離を歩くことになりました。
娘さんは相変わらず心配していました。

 

車椅子がいらなくなったお客様 


ところが、ふと気がつくと、A様の歩き方が、どんどんスムーズに、速くなっていくではありませんか。


最後には京都の嵐山で、天龍寺の広い庭を抜けて、竹林を散策し、バス通りから駐車場へ戻るところまで、1時間近く歩けるようになっていました。


到着時には「車椅子」を使い、杖をついてよろよろと歩いていた方がです。



その姿を見て、娘さんも本当にビックリして、

「こんなに歩けるとは思わなかった。すごいことだわ。」

と、何度もおっしゃっては涙ぐんでいました。


勝手な想像ですが、国ではもしかするともっとバリアフリーで、車や車椅子でほとんど移動できるうえ、娘さんが心配してある意味過保護になっていたので、頼っていたところがあったのかもしれません。


しかし、日本での「甘やかされない」状況の中で、A様の中に「歩いてみよう」という気持ちが芽生えたのかもしれません。


結局、距離が長いとか遠いなどの不満は一切おっしゃらず、むしろ歩けるようになって自信に満ちた笑顔をなさっていました。


空港に到着した時とは別人のようなお顔でした。


そのお顔を見て、私もとても嬉しく思いました。



バリアフリーでないのがいいとは思いませんが、またこういう方ばかりではありませんが、人間というのは、困難があった方がパワーが出てくるということがあるのかな、と思いました。


旅というのは、日常から離れて気持ちを変えたり、新しいチャレンジをするいい機会なのかもしれません。


※この記事は、「やまとごころブログ」の中の筆者ブログ「英語、ときどきインドネシア語」にも掲載されたものです。

(掲載期間2012年10月~2016年5月) http://www.yamatogokoro.jp/sasayama/


スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

英語通訳案内士・篠山美智子

Author:英語通訳案内士・篠山美智子
英語通訳案内士。オーストラリア留学後、前職(日本語教育関係)でインドネシアとマレーシアに計8年滞在。2009年より通訳案内士専業。日本及び海外旅行会社の団体ツアー、個人旅行客(FIT)、企業のインセンティブ・ツアー、政府関係のプロジェクト等に就業。北海道から九州まで日本全国を周る。

ご訪問ありがとうございます!