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あるNINJAになりたい男の子の話

あるツアーで、「NINJAになりたい」という男の子がいました。


京都の清水で、「NINJAの刀を買ったよ!」というので見たら、それはサムライの刀でした。


彼はそれを本物と信じていましたが、ちょうど京都の後で伊賀に行くことになっていたので、

「サムライの刀と忍者の刀がどう違うかあとで教えてね。」

というと、ますます興味津々のようでした。


伊賀では、「忍者ショー」で本物の刀や手裏剣、忍者の方々のパフォーマンスを見て感激したようで、

「本物の手裏剣を買いたい」

と言いだしました。



手裏剣 



時間があまりなかったのですが、

「忍者さんに頼んで(通訳して)ほしい」

というので話したところ、買えるのは買えるけれど、その日はお店が閉まっているとのことでした。


すると、

「忍者さんの持っているのを売ってほしい」

と言いだしました。


忍者さんは

「あげてもいいけど国には持って帰れない(入国できない)と思うよ。」

と。


しかし、彼はこれまでにない熱意と積極性を見せ、

「どうしても買って帰りたいんだ。」

と粘りました。


結局プラスチックの手裏剣を忍者さんにもらい、新幹線に間に合わなくなるのでその場をあとにしましたが、彼にそこまでの熱意があったとは私も驚きました。



バスの中では、他のお客様に「サムライの刀と忍者の刀の違い」を説明してもらいました。

ずっとおとなしくしていましたが、忍者の話になるとハキハキとしゃべっていました。


実は彼は、ツアーの間中、食事の際に「他の人と一緒に食べられない」ということで、別席を設けてほしいというリクエストがありました。


詳しい理由までは聞かず、人見知りなのかなという程度に思っていました。


しかし最後の食事の際には、他の人たちと隣り合わせに座っていたのでよかったと思っていたら、店の人がテーブルの間にあったパーティションを外した途端、立ちあがって外に出てしまいました。



そこで初めてお母さんから「実は潔癖症で、食べ物や場所が汚いと思ったら食べられなくなるの。」と聞いて理由がわかりました。


彼はレストランの外の階段に座り黙っていました。


私もしばらく一緒にいましたが、団体であることもあり他のお客様のお世話もあるので、つきっきりでいられませんでした。



結局彼は食べられないままで、お母さんがホテルで何か買って食べさせるということになりました。


私の勝手な印象では、もしかすると甘やかされすぎているのかなと言う感じもしましたが、お客様のプライベートにそこまで踏み込むわけにもいきません。


しかし、彼が伊賀で見せたあの熱意と気迫を思うと、芯は強いものを持っているに違いありません。


ゆっくり話をする暇もなかったのが残念ですが、せめて

「忍者になりたいなら、心も体も強くないとなれないよ。」

ぐらいのことは言ってあげられたらよかったのに・・・と悔やまれました。


もっとも言ったからどうなるというわけでもありませんが、せっかく忍者にあこがれて日本に来て、もっともっと得られることがあっただろうにと思ったりもします。


余計なおせっかいではありますが、

「忍者さんならどう言っただろう・・・。」

「侍の方ならどう言うだろう・・・。」

と、自分が何もできなかったふがいなさを感じたりもしました。


それでも別れ際に笑顔で「ありがとう」と言ってくれて嬉しく思いました。



彼が、将来たくましくなってまた日本に忍者やサムライを見に来てくれたらいいな、と心から願っています。


※この記事は、「やまとごころブログ」の中の筆者ブログ「英語、ときどきインドネシア語」にも掲載されたものです。

(掲載期間2012年10月~2016年5月) http://www.yamatogokoro.jp/sasayama/

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プロフィール

英語通訳案内士・篠山美智子

Author:英語通訳案内士・篠山美智子
英語通訳案内士。オーストラリア留学後、前職(日本語教育関係)でインドネシアとマレーシアに計8年滞在。2009年より通訳案内士専業。日本及び海外旅行会社の団体ツアー、個人旅行客(FIT)、企業のインセンティブ・ツアー、政府関係のプロジェクト等に就業。北海道から九州まで日本全国を周る。

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